フォト日記

今年の深谷の夏は本当に「過去一」だった――ねぎ農家の実感と高温対策

毎年のようにニュースでは「今年の夏は過去一の酷暑」と言う。

正直、聞くたびに「また言ってるな」と思っていた。なぜなら、農家は炎天下の現場で、肌を通して毎日の天候を観察しているからだ。

農業は天候と切っても切れない。

野菜の出来は天気で大きく左右される。自分も春先から冬のはじまりまで、主要な天気アプリを3〜4つ使い分け、数時間おきにチェックしている(有料サブスクのアプリもあるくらいだ)。それだけ天候は重要だ。

違和感が、今年は「納得」に変わった

例年なら「また酷暑って言ってる」とスルーしていたが、今年は違った

とにかく暑い。しかも雨が少ない。夕立は数えるほど。降っても短時間の大雨情報か、お湿り程度のパラつき。雨予報の傘マークは、近づくにつれて消えていく——農家あるあるのパターンだ。

この酷暑は人間以上に、夏を越えようとしている野菜にとって過酷だったはずだ。ねぎも例外ではない。生育は確実に停滞し、圃場によっては枯死が出ている。

「高温対策」だけでは足りない

近年は農業界でも高温対策がトレンドで、対策資材や高温に強い品種も増えた。和合堂でも手は打っている。ただ、夏の天気は一括りにできない。

暑いけど雨がしっかり降る年、今年のように暑くて雨がほとんどない年、逆に雨が多い年もある。例年は8月に30℃を下回る日が何日かあるが、今年の深谷周辺ではほぼ無かった感覚だ。

だから本音を言えば、高温だけに最適化した対策では不十分

どんな天候でも乗り越えるために、相反する条件に同時対応できる運用と資材選定が必要だ。都合よく「全部に効く魔法の資材」はない。ここが夏の一番の難所で、毎年頭を悩ませるポイントでもある。

8月は生きた心地がしなかった

作業そのものは順調に進み、安心していたところに、8月からの暑さの異変とねぎの異変。

創業1年目の弱小法人として、遠方から入社してくれた社員を本当に守り切れるのか。収入保険も法人化で切り替えが間に合わず万全でない。そこへ生育停滞の追い打ち。正直、8月は生きた心地がしなかった。

9月、ようやく息をつけた

9月に入ると、適度な、そして気温の落ち着き。まだ数日だが、ねぎも少しずつ持ち直してきた。天気予報ではお彼岸過ぎまでは暑い日が残る見込み。油断しない。守りつつ、攻める管理で、なんとか予定通りの出荷に繋げたい。

休みの日でも不安で落ち着かなかったこの夏。

昨日からの雨で、今日は少し心を緩められている。

この夏の苦労を忘れないよう、記録と記憶に残し、来年の改善につなげる。農業法人として着実に一歩ずつ。もうすぐ創業期が終わる。ここからが勝負だ。

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